気象研究所および気象庁による海洋CO‹SUB›2‹/SUB›観測データに基づいて、北太平洋西部亜熱帯から赤道域における海洋表層炭酸系の長期的な変化傾向について解析した結果を報告する。海面水温に長期的な変化傾向は見られないが、大気中CO‹SUB›2‹/SUB›濃度の増加 (1.65 ± 0.05 μatm yr‹SUP›-1‹/SUP›) に追随して、海水中CO2分圧が長期的に増加している。25年間の年平均増加率は、1.4 ± 0.2 ~ 1.8 ± 0.2 μatm yr‹SUP›-1‹/SUP› で、緯度による違いは小さい。全炭酸濃度の高精度観測は1990年代半ばから実施しているが、1.1 ± 0.4 ~ 2.1 ± 0.6 μmol kg‹SUP›-1‹/SUP› yr‹SUP›-1‹/SUP› の長期的な増加傾向が見られた。これらの観測データから、大気からの人為起源CO‹SUB›2‹/SUB›の吸収によって、海洋表層の炭酸系がどのように変わってきたか議論する。