これまで水温指標として,サンゴ骨格中のSr/Ca、Mg/Ca比をはじめ,微量元素の測定により数多くの気候復元に関する研究が行われてきているが,最近ではSr/Ca、Mg/Ca比ともに温度のみでなく骨格の成長速度にも依存していることが指摘されている.本研究におけるクローンサンプルを用いた温度制御飼育実験の結果、温度と骨格中の微量元素変動の関係は群体により差があるものの,主に温度がSr/Ca比変動を律速していることが示唆された.Mg/Ca比も群体によっては温度との正相関関係が認められたが,成長量とも有意な正相関が見られ,成長速度の影響が大きいことが示唆された.