海底堆積物中で生成するメタンは二酸化炭素還元型のメタン生成菌に依るものが大きい事がメタンの炭素・水素同位体組成などから示唆されている。しかしながら、どのような代謝・生合成過程をもった古細菌が堆積物中のどのような場所でメタンを生成しているのかは未だに不明である。古細菌の膜脂質バイオマーカーは真核生物や真正細菌と大きく異なることから、堆積物中でのバイオマスのプロキシーとなる。また、膜脂質の炭素・水素同位体比は炭素・水素源や代謝・生合成経路を反映するため、さらに詳しい古細菌の活動を特定できると考えられる。本研究ではメタンハイドレート濃集域において、古細菌膜脂質の深度分布と炭素・水素同位体組成から堆積物深部での古細菌の活動からメタン生成場について考察する。