主催: 日本地球化学会
共催: 日本化学会
Divnoe隕石はオリビンに富む始源的エコンドライトである。光学顕微鏡の観察から、Divnoe隕石の変形の程度は非常に弱く、隕石母天体どうしの衝突によるショックをあまり受けていない事がわかる。電子線後方散乱回折(EBSD)によるオリビンの結晶方位測定の結果から、顕著な格子選択配向が観察された。この配向パターンの形成メカニズムを、電子プローブマイクロアナライザーと透過型電子顕微鏡を用いた詳細な微細組織の観察をもとに考察した。結果として、この配向パターンは、メルト中で晶出した自形のオリビンが、メルトの対流によって剛体回転をしながら沈積した事によって形成された事が分かった。この事は、Divnoe隕石中のオリビンが、後の熱やショックによる変成作用の影響をほとんど受けずに、母天体中での晶出過程に形成された微細組織を保持していることを示唆している。