ホットソープ法によるCuInS2ナノ結晶の合成において、原料溶液にキャッピング剤として働く界面活性剤を添加してから加熱するまでの保持時間が短い場合には閃亜鉛鉱型相が、長い場合にはウルツ鉱型相が生成することを見出した。赤外吸収スペクトルにより原料溶液中での金属モノマー錯体の配位状態を調べることにより、InCl3に配位するトリオクチルホスファイトがオレイルアミンへと交換することによって生成相の変化が生じることを明らかにした。生成相の変化は錯体の配位結合力が結晶成長速度を決定するという機構によって解釈できた。