近年、低エネルギー表面に適当な凹凸構造を持たせることにより、超撥水性表面(接触角>150o)が得られるという概念は広く認知され、多くの超撥水性表面の作製事例が報告されている。これらは、Cassieモードを好適に実現することで、凹凸構造の凸部分の先端で水を支える状態(空気が噛み込む)が得られ、水と固体表面との間の粘性抵抗を著しく低減させる効果をもつ。例えば、一定の傾斜角で超撥水表面上を液滴が転落する場合、ほぼ斜面方向の重力加速度a = g・sin (g:重力加速度,:表面の傾斜角)で転落し、粘性抵抗がほとんど寄与しないことが明らかにされている。加えて、水平な超撥水性表面上に設置された液滴に、数千ボルト(AC・DC)の電界を掛けた際に、電極間を振動運動させる方法が確立されている。このような液滴の振動運動を閉鎖系の管内で実現すれば、MEMS等のマイクロポンプの駆動源として期待される。今回は、超撥水処理を施された平面上に設置された液滴を電界で運動させ、その際の内部流動と液滴の変形過程について報告する。