主催: 公益社団法人日本セラミックス協会
近年の理論計算手法の進歩と計算機性能の著しい向上により,結晶のフォノン状態を第一原理から計算することが可能になった.これにより,経験的変数を用いることなくフォノンの分散関係を求めることができ,変位型構造相転移の鍵となるソフトモード振動数と分極ベクトルの定量的解析,予測が可能になる.本研究ではLaAlO3および関連するペロブスカイト化合物のソフトモード相転移をを対象とし,第一原理PAW法による構造最適化,全エネルギー計算,および直接法にもとづくフォノン分散の計算による解析を行った.計算結果は実験により観測されている相転移圧,ソフトモード振動数の圧力依存性を定量的に再現した.さらに一連の化合物についての系統的計算から,ソフトモード相転移に関する新たな一般則へとつながる知見が得られた.