日本生態学会大会講演要旨集
第51回日本生態学会大会 釧路大会
セッションID: P2-154
会議情報
厚岸湖畔における塩湿地植物群落の分布の年変動
*神田 房行内山 博之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

アッケシソウはアカザ科の一年草で海岸の塩湿地や内陸の塩湖に生育する。アッケシソウは我が国では北海道の厚岸湖で発見されたことから、その名がつけられた。厚岸湖では牡蠣島に主に分布しており「厚岸湖牡蠣島植物群落」として国の天然記念物にもなっていた。しかしながら、近年、牡蠣島は地盤沈下が著しく、アッケシソウ群落は全く姿を消してしまい、1994年には国の天然記念物指定も取り消された。しかし、我々の調査でアッケシソウは厚岸湖の湖岸に広く分布しており、特に厚岸湖の東北部の湖岸では大きな群落が存在していることが分かった。アッケシソウは単独、または他の塩湿地の植物と群落を形成しており、チシマドジョウツナギ、オオシバナ、ヒメウシオスゲなどと群落を形成する場合が多く,ウミミドリ、エゾツルキンバイ、ウシオツメクサを混在する場合も見られた。アッケシソウは一年草であるので、アッケシソウ群落の位置や被度が年によって変動するかどうかを確かめるために、厚岸湖東北部で永久コドラートおよび永久帯状区を設定しアッケシソウ群落の年変動を2001年から3年間調べた。この調査で、アッケシソウ群落は年により群落の分布が大きく変動することが分かった。特に2003年には被度が著しく低下した。調査地での植物全体の被度はむしろ2003年は高く、単にこの年の植物の生育が悪いのでアッケシソウの生育も悪かったということでは説明できないことが分かった。

著者関連情報
© 2004 日本生態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top