2020 年 27 巻 1 号 p. 131-136
近年,日本を代表する名門企業による品質不正問題が表面化している.戦後,未熟な段階を経て,日本の製造業のお家芸とまで言われるようになった品質管理において,今日信頼が大きく揺らいできている.この問題の奥深くには経営層のマネジメント力や製造現場の組織能力など,数多くの問題が潜んでいる点が指摘されているが,これらと同時に,各企業において現在導入されている品質管理システムが,不正を防止する上で有効に機能していない状態であることも問題であると考えられる.しかし,こうした点はこれまで詳細に議論されてこなかったと思われる.本稿では,品質管理業務の現状と問題点を分析した上で,どのようなソフトウェアが開発,導入されるべきかを具体的な事例をもとに検討した.