日本腎臓学会誌
Online ISSN : 1884-0728
Print ISSN : 0385-2385
ISSN-L : 0385-2385
IgG,IgE動態よりみた腎炎病態の臨床的研究
角原 孝
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 16 巻 9 号 p. 839-852

詳細
抄録

 1971年来われわれは免疫グロブリンおよび補体成分C'/3レベルの面より腎炎病態のアプローチを行なつている。今回IgEを中心として,従来よりselectivity indexとして使用して来たIgGとの相対的動態を通して腎炎またはネフローゼ症候群の病態研究を行ない,以下の結論を得た。(1)血中IgGとIgEとは異つた動態を示す。(2)血中IgEレベルはindeterminate group neph-rosisで有意の高値を示す。(3)IgG,IgEの補体結合性差異を示唆する相関性が得られた。(4)腎炎またはネフローゼ症候群の免疫機序には,少くとも4つのpatternが推定される。iネフローゼ症候群indeterminate groupに見られる高IgE・高補体価性pattern ii慢性膜性増殖性腎炎にみられる低補体価性pat-tern iiiネフローゼ症候群mernbranous typeにみられる相対的高IgG・高補体価性pattern ivその他一般的non-specific pattern(5)従来のselectivity index評価には,小分子化蛋白の関与も考慮する必要がある。(6)IgE分子もIgG分子同様,GBM通過をなすと推論される。

著者関連情報
© 社団法人日本腎臓学会
次の記事
feedback
Top