日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物独自の膜交通システムにおける分子制御メカニズムの解析-シロイヌナズナARA6エフェクターの探索と機能解析―
*伊藤 瑛海白井 貴之上田 貴志中野 明彦
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p. 0107

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抄録

RAB GTPaseは,活性型時にエフェクターと呼ばれる分子群と相互作用することにより,細胞内膜交通において多様な現象を制御している.なかでもRAB5は,真核生物に広く保存されており,エンドサイトーシス経路で機能することが知られている.陸上植物は,この保存型RAB5に加え,ユニークな一次構造を有するRAB5ホモログをもつという特徴を持つ.私たちの研究室では,保存型RAB5と植物固有型RAB5が異なる輸送経路で機能することにより,花成や細胞分化,根の形態形成などの現象の制御に関わることを明らかにしてきた.このようなRAB5の機能は,さまざまなエフェクターとの相互作用を介して発現していると考えられるが,植物には,これまで動物で報告されているRAB5エフェクターのホモログは見いだされず,その仕組みは全く明らかになっていない.そこで,本研究では,シロイヌナズナの植物固有型RAB5であるARA6に注目し,エフェクターの同定と機能解析を試みた.酵母2ハイブリッド法により得られたARA6エフェクター候補のうち,PUF2(Plant-unique RAB5 Effector 2)は,活性型ARA6特異的に相互作用を示す一方で,保存型RAB5が制御する液胞輸送経路を主に制御することが明らかになった.このことから,PUF2が二つの植物RAB5が関わる輸送経路を統御する鍵因子である可能性が見いだされた.

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© 2011 日本植物生理学会
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