日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナAtXYP2タンパク質の局在解析
*小林 裕樹本瀬 宏康福田 裕穂
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p. 0622

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抄録

ヒャクニチソウ培養細胞木部分化誘導系から単離されたxylogenはアラビノガラクタンタンパク質(AGP)、脂質転移タンパク質(nsLTP)のドメインを持ち、GPIアンカーによって膜に繋留される構造を持つ。xylogenは維管束組織で特徴的な分布をすることが明らかになっているが、この分布にGPIアンカーが関与する可能性が考えられた。ヒャクニチソウxylogenに相同な遺伝子はシロイヌナズナゲノム中にも存在し、その中でもAtXYP2は維管束特異的に発現しヒャクニチソウxylogenと機能的相同性が高いと予測される。そこで、AtXYP2プロモーター下でAtXYP2::GFP融合タンパク質を発現させた蛍光局在解析により、AtXYP2タンパク質の細胞内での挙動を明らかにすることを試みた。その結果、AtXYP2は木部および前形成層領域で発現し、根端付近と伸長領域とで異なる細胞内局在のパターンを示した。根端付近の細胞においては、細胞膜および点状の細胞内オルガネラに局在し、特に細胞分裂期に細胞板に強い蛍光が観察された。細胞内輸送阻害剤および変異体を用いた解析により、この局在は既知の植物の小胞輸送系とは異なる特徴を持つことが示唆された。これらの結果をもとに、AtXYP2における極性輸送の仕組みを考察する。

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© 2010 日本植物生理学会
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