日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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花粉管に誘引物質応答能を与える母体因子AMORの解析
*水上 茜清水 理恵小竹 敬久円谷 陽一森 仁志金岡 雅浩佐々木 成江東山 哲也
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p. 0348

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抄録

被子植物の胚嚢は一般的に厚い胚珠組織に覆われており、直接観察することは困難である。このため、被子植物の受精を支える分子機構は長らく明らかにされなかった。しかし、胚嚢が胚珠組織から裸出しているゴマノハグサ科のトレニアを利用することで、花粉管は助細胞が分泌する花粉管誘引物質によって胚嚢に誘引されることが明らかとなった。その解析の過程で、花粉管に助細胞からの誘引物質への応答能コンピテンシーを与える因子が胚珠組織に存在することが明らかとなり、この因子を“AMOR(activation molecule for response capability )”と名付けた。AMORは、熱安定性であり、アラビノガラクタンタンパク質(AGP)画分に回収される。しかし、その分子的実体は明らかになっていない。
我々は、花粉管がどのようにして誘引物質への応答能を獲得するかを明らかにするため、AMORの分子的実体とその生成を担う遺伝子を同定することを目指している。これまでに、AMORを多量かつ簡便に回収するための試料の回収法を検討すると共に、AMORの精製法を検討してきた。また、異種植物の栄養器官から精製したAGPsにも、弱いながらもAMOR同様の活性があることを明らかにした。現在、AMORがAGPである可能性や糖鎖の関与について検討しており、最新の結果について紹介したい。

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© 2009 日本植物生理学会
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