日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ単離液胞代謝物のLC-FTICR-MS分析データに基づく包括的アノテーション
*佐々木 亮介大西 美輪姉川 綾杉山 裕子飯島 陽子櫻井 望柴田 大輔三村 徹郎青木 考
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0306

詳細
抄録

液胞は植物の成長や浸透圧調節等に重要なだけでなく、有機酸・二次代謝物など植物代謝産物の貯蔵にとっても重要なオルガネラである。しかしながら実際に液胞に蓄積している代謝物の多様性や細胞質液胞間の代謝物輸送制御機構は明らかにされてはいない。本研究では液胞膜輸送タンパク質改変による細胞代謝機能制御研究のための基本情報として、シロイヌナズナ培養細胞DEEP株の単離液胞の代謝物組成解析を行った。代謝物組成の比較対象としてDEEP株全細胞の代謝物組成解析も並行して実施した。代謝物情報はLC-FTICR-MSを用いてESIポジティブ、ネガティブイオンモードで取得した。代謝物の構造推定を進めるために多数の成分に関してMS/MSスペクトルを取得するよう分析条件の改良を試みた。この結果、単離液胞・全細胞抽出物からポジティブモードで各々736成分、876成分(共通195成分)、ネガティブモードで713成分、989成分(共通117成分)が検出された。m/z値分布を見ると、低分子量側(m/z=500以下)では全細胞画分中に見られる成分数が多い傾向があった。また核酸代謝関連化合物・アミノ酸代謝関連化合物の液胞または全細胞画分への偏在が見出された。この基本情報を基に液胞膜タンパク質遺伝子形質転換体における代謝物プロフィールの解析を行なっている。本研究は一部科学技術振興機構・CRESTの支援をうけて実施された。

著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top