日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペルオキシソーム型リンゴ酸脱水素酵素の機能解析
*五十嵐 健太佐藤 世理藤原 恵美林 八寿子加藤 朗
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p. 0425

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抄録

【目的】高等植物のペルオキシソームは組織や成長段階によって、その名称や機能が異なる。脂肪性種子植物の胚乳や黄化子葉に存在するペルオキシソームの一種、グリオキシソームはβ酸化系やグリオキシル酸回路が局在し、貯蔵脂肪の分解を行って発芽に必要なエネルギーを供給する。ペルオキシソーム局在型のリンゴ酸脱水素酵素であるPMDHはグリオキシル酸回路を構成する酵素の一つであり2つのアイソフォーム、At2g22780(PMDH1)、At5g09660(PMDH2)が存在する。両者の遺伝子発現解析から、PMDH1は発芽の初期に、PMDH2は光に応答して発現が上昇することが明らかになった。これは2つのPMDHアイソフォームがそれぞれ異なる役割を担っていることを示唆する。そこで本研究では、PMDHの生理機能を明らかにする為、シロイヌナズナの遺伝子欠損変異体を用いた解析を行った。
【結果と考察】pmdh1pmdh2変異体には際だった表現型は観察されなかった、しかし両遺伝子を欠損したpmdh1pmdh2二重変異体では種子貯蔵脂肪の分解が抑制され、芽生えの成長にはスクロースを必要とした。さらにβ酸化系欠損変異体であるped1と同様に、β酸化系活性の低下が見られた。以上の結果よりPMDHはグリオキシル酸回路だけでなく、β酸化系の活性化にも関与しているのではないかと考えられる。現在、緑葉におけるPMDHの機能について、ストレス応答との関連性に注目して解析中である。

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© 2008 日本植物生理学会
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