日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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NAD関連遺伝子によるC-N代謝促進
*高橋 秀行橋田 慎之介藤森 玉輝川合(山田) 真紀田茂井 政宏重岡 成柳澤 修一内宮 博文
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p. 0297

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抄録

葉緑体局在型NADK(NADK2)はPSIIの電子伝達とキサントフィルサイクルを正常に働かせるために必須の酵素である。代謝解析の結果、NADK2高発現体ではカルビン回路の代謝物が増加することが明らかになった。さらにカルビン回路の酵素であるRubisCO及びグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素の活性化と二酸化炭素取り込み量の増加が観察されたことから、炭素固定能の上昇が示された。一方、本植物体ではグルタミン酸を中心とした遊離アミノ酸が増加し、さらに低窒素条件で生育が著しく悪化することから、窒素代謝への影響が示唆された。それらを明らかにするため、窒素代謝に関わる酵素の発現および活性、イオンについて調査した。高発現体では葉緑体局在型グルタミン合成酵素(GS2)とNADH依存性グルタミン酸合成酵素(GOGAT)の発現が上昇しており、GS/GOGAT経路が発現レベルで上昇していることが明らかになった。ここで、GS/GOGAT経路におけるアミノ酸合成には、硝酸の取り込みと還元による窒素源の供給が必須である。高発現体では硝酸取り込みの上昇と硝酸還元酵素の活性化が観察された。これらの結果から、NADK2の高発現によって硝酸還元活性が上昇し、同時に活性化したGS/GOGATによってアミノ酸合成が促進されていることが推測された。

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© 2008 日本植物生理学会
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