日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの根におけるグルタミン合成酵素遺伝子GLN1;2のアンモニウム応答
*小島 創一石山 敬貴井上 恵理山谷 知行高橋 秀樹
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p. 0295

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抄録

窒素栄養の効率的な吸収と同化は植物の生育を規定する重要な因子の一つである。自然界の土壌中には、硝酸やアンモニウムイオンなどの窒素栄養がごく少量存在する。環境から植物細胞へ輸送された硝酸はアンモニウムに還元されグルタミン合成酵素によりグルタミンへ同化される。シロイヌナズナの根には4つの細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)が分布していて環境からのアンモニウムの同化を行っている。中でもGLN1;2は他のGS1アイソザイムと比較しても興味深い性質を持っている。第一に、窒素欠乏後のシロイヌナズナの根へアンモニウムを供給するとGLN1;2の転写産物量は増大する。第二に、GLN1;2の酵素学的な性質はアンモニウムに対する親和性が低い。第三に、GLN1;2のプロモーター活性はアンモニウムの供給後に根の表皮と根毛で集積する。それがゆえにGLN1;2は根に十分にアンモニウムが供給されている条件下でアンモニウムの初期同化を中心的に担う重要な因子の一つであると考えることができる。我々は蛍光緑色タンパク質(GFP)をレポーターとして、GLN1;2遺伝子のプロモーター領域を連結した融合遺伝子を形質転換し、プロモーターの欠損解析を行った。その結果、GLN1;2遺伝子の開始コドンから約3.6 kb上流にある21 bpの配列がGLN1;2遺伝子のアンモニウム供給に応答した発現に必要であることを見いだした。

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© 2008 日本植物生理学会
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