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イネの窒素利用上の鍵酵素をコードするNADH-グルタミン酸合成酵素1遺伝子(OsNADH-GOGAT1)やアンモニウム輸送担体1遺伝子は、グルタミン(Gln)による発現制御を受ける。このことから、イネにはGlnをシグナルとした情報伝達系が存在すると考えられるが、その分子実体は全く不明である。演者らは、イネのGln情報伝達系の分子実体を解明するため、Glnセンサーの候補としてイネACT domain repeat protein(OsACR)の機能解析を進めている。OsACRをコードする遺伝子は、イネ核ゲノム上にOsACR1からOsACR9までの9つ存在する。このうち特にOsACR9は、OsNADH-GOGAT1が発現する多くの器官、組織、細胞に蓄積しており、OsNADH-GOGAT1の発現制御に関与している可能性が期待された。そこで、RNAi法を用いてOsACR9ノックダウンイネを作出し、その形質転換当代におけるOsNADH-GOGAT1の発現解析を行なった。その結果、OsACR9蓄積量が減少したOsACR9ノックダウンイネの当代では、分げつ未抽出葉身において、OsNADH-GOGAT1 mRNAの減少傾向が認められた。本発表では、T1世代におけるトランスクリプトーム解析の結果などから、OsACR9がイネのGln情報伝達系および遺伝子発現制御に関与している可能性について考察する。