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これまでの研究から、シロイヌナズナのLSD1はプログラム細胞死(PCD)の負の制御因子であり、自身のジンクフィンガー構造を介して細胞質で他のタンパク質と相互作用することで、核タンパク質の核輸送を抑制する細胞質リテンションタンパク質である事が明らかになっている(1)。これまで同定したLSD1相互作用タンパク質が転写制御因子(AtbZIP10, LIN1,IAA8)であることから、LSD1の細胞質リテンションタンパク質としての機能が、特にPCDの誘導における転写制御に間接的に関わっていると考えられる。そこで、LSD1とこれらの転写制御因子の相互作用機構を明らかにするために、まずファージディスプレイ法を用いてLSD1の標的認識配列を調べた。その結果、”GxP”モチーフが標的認識のコア配列であることが明らかとなった。そこで”GxP”モチーフに着目し、酵母のツーハイブリット法を用いてLSD1とAtbZIP10、LIN1、IAA8との相互作用を調べた結果、全てとこのモチーフを介して相互作用することを明らかにした。植物細胞中においても同様の相互作用機構によりLSD1とこれらの転写制御因子が相互作用することについて、GSTプルダウン法、共免疫沈降法、及びBiFC法により現在確認しており、これらについても報告する。
(1) Kaminaka et al., EMBO J., 25, 4400-4411 (2006)