日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シャジクモ液胞のメタボローム解析
*及川 彰三村 徹郎斉藤 和季
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0136

詳細
抄録

液胞は細胞内において様々な化合物の貯蔵・分解・隔離を司っている.液胞内に存在する化合物の種類や量は植物の成長や外部環境によって変化することが予想される.そのため,液胞内のメタボローム情報を知ることは,その細胞の成長の状態や環境への応答反応を化合物レベルから理解することに有用であると考えられる.その際、一つの細胞から単離した一つの液胞内におけるメタボローム情報を得ることが理想的となる.しかし,シロイヌナズナなどのモデル植物では一つの細胞の体積が極めて小さくまた液胞の単離も困難である.そこで我々は淡水に住む藻類であるオオシャジクモに注目した.オオシャジクモの節間細胞は大きいもので長さが10 cmを超え、一つの節間細胞から液胞内液を10 μL以上採取することが可能である.我々はガラスキャピラリーを用いて液胞内液を採取し、昨年度の本大会で報告したキャピラリー電気泳動/質量分析装置(CE-MS)を用いたメタボローム解析システムに導入した.CE-MSは極性化合物の高分解能な解析に適した装置であり,分析に必要なサンプル量は5 μL以下である.カチオンおよびアニオン分析の結果,アミノ酸や有機酸など同定されたピークを含め約1,000個のピークが検出された.本大会ではこれに加えて,様々な環境ストレス下での液胞メタボロームの変化を報告する.

著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top