日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

葉緑体FtsHプロテアーゼによるD1分解機構
*加藤 裕介三浦 栄子坂本 亘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0119

詳細
抄録

光合成において過剰な光エネルギーは光化学系IIに障害をあたえ、光合成機能の低下を引き起こす。これを回避するため、光化学系IIでは障害をうけたD1タンパク質を直ちに分解し、系全体の機能維持を行うための修復サイクルが重要であると考えられている。光化学系IIの維持に最も重要であると考えられているD1分解には、チラコイド膜局在型のATP依存型メタロプロテアーゼFtsHの関与が示唆されている。しかし、FtsHプロテアーゼ複合体を欠損したシロイヌナズナ変異体var2は斑入りであるためin vivoでの解析が困難であった。そこで本研究では当研究室で見出され斑入りが回復したfug1 var2二重変異体を用いて均一な葉組織を準備し、in vivoにおけるD1分解の検出と解析を試みた。葉緑体のタンパク質合成阻害剤であるリンコマイシンによってfug1, fug1 var2の葉を処理した後、強光条件下でのD1分解を比較した。その結果、fug1ではD1が速やかに分解されたのに対し、fug1 var2ではD1分解の顕著な遅延が認められた。この遅延は、強光条件だけでなく葉を弱光条件下に置いた場合にも観察された。以上の結果は、これまで示唆されてきたin vivoでのFtsHによるD1分解を強く支持するもので、FtsHがD1分解に寄与する主要なプロテアーゼであることが裏付けられた。

著者関連情報
© 2008 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top