日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CAD1は全身獲得抵抗性(SAR)のに対する負の制御因子である
*山本 雅子浅田 裕筒井 友和池田 亮山口 淳二
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p. 595

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抄録

病原体感染時にみられるようなHR様細胞死を示す疑似病斑変異体cad1は、1)サリチル酸(SA)の顕著な蓄積が観察され、2)恒常的にPR遺伝子群が発現しており、3)病原性細菌に対する抵抗性を獲得している。従って、CAD1は免疫機能を負に制御していると考えられた(Plant Cell Physiol. 2005, 46: 902-912)。
一般に感染部位だけでなく未感染部位においても、SAの蓄積と感染特異的(PR)遺伝子の発現誘導が認められ、これは全身獲得抵抗性(SAR)が誘導された結果である。これまでの研究より,cad1変異体ではウイルスの全身移動が阻害されていたことから,CAD1とSARの関連性があることを示唆した。本研究ではこれについて検証するため、CSIROのpOpOff2ベクターを利用したDEX誘導型RNAiシステムを用いた解析を進めた。このRNAiシステムでは,pOpOff2ベクターにCAD1のコード領域500bpとその逆向き反復配列がヘアピン構造を形成させ、内生CAD1のサイレンシングを引き起こすものである。上記コンストラクトを導入した植物ではDEXを塗布した部位にのみ局所的にRNAiを誘導することができる。導入植物を解析した結果、局所的にCAD1遺伝子をサイレンシングすることによって、塗布していない離れた組織でもPR遺伝子等の発現誘導が観察された。これらの知見は、CAD1がSARを負に制御している可能性を示しており、これについて議論したい。

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© 2007 日本植物生理学会
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