日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物特異的キネシン様タンパク質API1は紡錘体、フラグモプラストの微小管を制御する
*日渡 祐二小原 真理藤田 知道村田 隆長谷部 光泰
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p. 517

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抄録

微小管は細胞分裂と伸長を制御する中心的因子の1つであり、微小管の制御機構は植物発生学において解明すべき課題である。我々は、細胞分裂時の微小管制御の分子機構を解明するため、ヒメツリガネゴケの分裂細胞に特異的に発現するキネシン様タンパク質API1を解析している。
今回、API1の機能を調べるために姉妹遺伝子API1Lとともに遺伝子破壊系統を作出した。各々の一重遺伝子破壊系統は野生型との差異を示さなかったが、二重遺伝子破壊系統は不完全な細胞板の形成や多核化、及び細胞伸長の阻害と方向異常を示した。微小管制御への作用機作を調べるために、二重遺伝子破壊系統で微小管染色を行ったところ、紡錘体やフラグモプラストの形態異常が観察され、フラグモプラストでは中央部の細胞板形成領域が拡大していた。従って、これらの異常が不完全な細胞板形成や多核化の原因であると考えられた。さらに、API1-GFPおよびAPI1L-YFP融合タンパク質は紡錘体やプラグモプラストの赤道面に局在した。これらの領域では交差する微小管のプラス端が架橋され紡錘体やフラグモプラストの形成維持に働くと考えられていることから、API1、API1Lは微小管同士を架橋することで紡錘体やフラグモプラストの形成や維持に関与する可能性が考えられる。以上の結果を踏まえて、細胞分裂時の微小管制御に対するAPI1、API1Lの機能を考察する。

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© 2006 日本植物生理学会
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