日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケ原糸体における液胞・細胞質の局在制御機構の解析
*小田 祥久朽名 夏麿佐野 俊夫藤田 知道長谷部 光泰馳澤 盛一郎
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p. 347

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抄録

植物細胞は、成長に伴って巨大液胞を発達させるため、細胞質は細胞表層に薄い層として展開される。近年、蛍光色素および蛍光タンパク質による液胞膜の可視化が進み、液胞は単純な袋ではなく複雑な形態を示すことが明らかになってきた。植物細胞の細胞質には、一般的に微小管とアクチン繊維という二つの細胞骨格が展開されており、これらを破壊することで液胞の形態や運動に異常が生じることが報告されている。しかしながら、細胞の成長・分化と液胞の形態との関連については、未だに十分な知見が得られていない。そこで本研究では、細胞の成長・分化の解析に適したヒメツリガネゴケにおいて、蛍光色素およびGFP-AtVam3p融合遺伝子の導入によって、液胞膜を可視化した。その結果、原糸体の先端、細胞板の発達部位、密集した葉緑体などの周辺において、液胞膜が複雑に突出・陥入し、細胞質が液胞と入り組むように分布していることが明らかになった。また、細胞骨格阻害剤によって、このような液胞と細胞質の分布に異常が生じることが判明した。このような細胞骨格による液胞および原形質の分布制御と細胞の生長・分化との関わりを明らかにするために、ヒメツリガネゴケの高い再生能力を利用し、プロトプラストからの原糸体が分化、成長する過程について解析を進めており、その結果を併せて報告する予定である。

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© 2006 日本植物生理学会
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