日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ葉緑体シグナル認識粒子cpSRP43は光酸化ストレス馴化に関与する
Markus Klenell*森田 重人Mercedes Tiemblo-OlmoPer MuhlenbockStanislaw KarpinskiBarbara Karpinska
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p. 584

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抄録

我々は葉緑体シグナル認識粒子cpSRP43をコードするCAO遺伝子の光酸化ストレス馴化における役割を検討した。シロイヌナズナcpSRP43のノックアウト変異体chaosは、光化学系IIアンテナタンパク質が減少していることが知られている。今回我々は、chaos変異体が光酸化ストレスに対し高い耐性を示すことを明らかにした。この変異体は、野生型に比べ光酸化ストレスによる障害が少なくストレスからの回復が速かった。また野外での低温ストレス条件においても高いクロロフィル蛍光と生存率を示した。chaos変異体は過酸化水素生成、アスコルビン酸含量、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ遺伝子の誘導がいずれも野生型に比べ低下していた。CAO遺伝子の発現は光酸化ストレス条件下で抑制された。またその発現は、葉緑体のレドックスシグナル経路により調節されていることが示唆された。以上の結果から、CAO遺伝子の発現は植物の光酸化ストレス耐性に強い影響を持つといえる。CAO遺伝子の発現調節は強光ストレスに対する馴化に寄与していると考えられる。

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© 2005 日本植物生理学会
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