日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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C4フラベリアで特異的に機能するCP12様タンパク質の解析
*岩田 良子中村 匡良市江 由美子山口 鉄平古本 強泉井 桂
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p. 212

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抄録

我々はこれまでに新規なC4光合成関連因子を同定する目的で、フラベリア属のC3植物とC4植物を用いたトランスクリプトーム解析を行い、C4植物に高発現する未知遺伝子を複数単離することに成功した(2004年会)。今回、C4光合成マーカー遺伝子PpcAと比較しつつ、それらの詳細な発現解析を行ったところ、特に3種類の遺伝子がこれとよく類似した発現パターンを示した。近年、カルビン回路の二種類の酵素の複合体形成にCP12と呼ばれる小さなタンパク質がヒンジとして機能することが明らかにされたが、この3種類の遺伝子のうちに、これと類似したアミノ酸一次構造をコードする遺伝子FtCP12Lを見出した。その一次構造は、分子系統樹解析・アミノ酸配列比較から、従来知られているCP12とは明瞭に区別される。また、FtCP12との発現比較から、FtCP12LはC4型フラベリアに特異的に、そして葉肉細胞・維管束鞘細胞の両方で発現していることが明らかとなった。さらに、ペプチド抗体を用いてタンパク質のレベルでもC4種に多く存在することを確認した。これらの結果は、FtCP12LがCP12とは異なる複合体を形成し、C4光合成に特異的な代謝機構の調節に関わる可能性を示唆している。現在C4植物における機能を明らかにするため、FtCP12Lを介して形成される複合体の検出・同定を試みている。

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© 2005 日本植物生理学会
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