日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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根粒菌の感染がマメ科植物のポリアミン濃度に及ぼす影響
*寺門 純子藤原 伸介
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p. 744

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抄録

高等植物においてポリアミンは細胞の増殖、分化、器官形成といった生長にかかわる機能物質として重要な役割を担うだけではなく、養分欠乏をはじめとする様々な環境変化に対して著しい濃度変化を示すことが知られている。マメ科植物の根には根粒菌が共生し、根粒という特殊な器官を形成しているが、根粒中には他の器官と比較して非常に高い濃度のポリアミンが存在していることが知られている。しかしながらこれらの根粒形成にかかわる機能についてはほとんど明らかにされていない。本研究では、ポリアミンが根粒形成とどのように関連しているかを調べる目的で、根粒菌感染初期におけるダイズ ( Glycine max cv. Enrei)の各器官内のポリアミン濃度の変動を調べた。
ダイズ(エンレイ)のいずれの器官からも主要ポリアミンであるプトレシン、スペルミジン、スペルミンおよびカダベリンが検出され、ポリアミン含有率は各器官により異なる値を示した。これらのポリアミン濃度は根粒菌の接種により変動を示し、なかでも根や葉において根粒菌接種一日目に、非接種区と比較してプトレシンおよびカダベリン濃度の上昇が確認された。また、これらの植物体の地上部あるいは地下部にポリアミンを処理した結果、根の発達および根粒着生数に変動がみられたことから、ポリアミンが根粒着生の制御にかかわっている可能性が示唆された。

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© 2003 日本植物生理学会
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