日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

YFP-tubulinを発現するBY-2細胞における細胞板のカロースの蓄積とフラグモプラスト微小管の分布変化
*廣井 良伸作田 宏平安原 裕紀
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 725

詳細
抄録

 フラグモプラストの遠心的発達は、フラグモプラストの中心側での微小管脱重合と、その外側での微小管再重合の繰り返しによると考えられている。しかし、フラグモプラスト微小管の脱重合と再重合を、細胞板形成の進行と調和させる機構は明らかにされていない。これまでに我々は、タバコ培養細胞BY-2において、細胞板でのカロース合成とフラグモプラスト中央部の微小管の脱重合がカフェイン処理により可逆的に阻害されることから、細胞板におけるカロース合成と微小管脱重合が密接な関係を持つことを示唆した。今回は、これらの関係をより詳細に検討する目的で、YFP-α-チューブリン融合蛋白質を発現するBY-2細胞をアニリンブルーにより生染色し、フラグモプラスト微小管の動態と細胞板のカロースの蓄積を同時に連続的に観察することを試みた。細胞板の縁が親細胞壁に到達するまでは、フラグモプラスト微小管の分布域より内側でアニリンブルーの蛍光が強く観察された。一方、細胞板の縁が親細胞壁に到達すると、親細胞壁に近い側からアニリンブルーの蛍光が強くなり、フラグモプラスト微小管の残存する領域でも強いアニリンブルーの蛍光が認められた。この結果は、フラグモプラスト微小管脱重合はカロ一スの蓄積そのものが引き金となって誘導されるのでは無いことを示している。したがって微小管脱重合とカロース合成が同じシグナルにより誘導されている可能性が考えられる。

著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top