主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
炭酸塩岩は全堆積岩の∼20%を占め、その質量は1017トンにも及び、地球表層における二酸化炭素化学種の最大のプールである。しかし、その形成に微生物が関与することが分かってきたのは比較的最近であり、今後、さらに微生物要因の影響が強く認識されてくるであろう。たとえば、地質学界の積年の謎であった「低温ドロマイト生成」にも微生物が関与することが分かってきた。海底堆積物中の主要な生物地球化学プロセスに「メタンの嫌気的分解」があり、この産物として硫化水素と炭酸塩岩が生成されるが、この炭酸塩岩はどういう訳かMg含有量の高いカルサイトかドロマイトであることが多い。さらに、Halobacillus trueperiという好塩性バクテリアは炭酸塩沈殿作用を示すが、最近、われわれは石垣島沖のメタン湧出帯に自生する炭酸塩岩からこれに近縁の微生物を分離し、これが深海底での炭酸塩形成に関与している可能性を示唆した。