難揮発性包有物CAI中の非平衡酸素同位体分布の理解を目的として、CAIメルトとH218Oガスとの酸素同位体交換実験を温度1390°C, H2Oガス圧5×10-2 Paで3時間、18時間おこなった。回収試料はガラスと少量のスピネルからなり、ガラス中の酸素同位体組成は試料表面に向かうにつれて18Oに富むようにゾーニングしていた。18時間加熱試料において表面の18O/(16O+18O)比は~0.44まで増加していた。表面濃度非定常の3次元拡散方程式から、CAIメルト中の酸素の拡散係数を3時間、18時間加熱試料においてそれぞれ2.1 × 10-7 cm2 sec-1、4.8 × 10-7 cm2 sec-1と推定した。また水蒸気と液滴表面との酸素同位体交換効率は~0.1程度であった。CAI溶融時の酸素同位体交換反応の定量的議論が可能となることが期待される。