日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R6-P10
会議情報

R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
北部九州・博多湾周辺に分布する白亜紀花崗閃緑岩類のP-T条件とそれらの貫入関係への制約
*宮本 知治島田 和彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

博多湾周辺には糸島花崗閃緑岩・北崎花崗閃緑岩(トーナル岩)・志賀島花崗閃緑岩が、早良花崗岩などの花崗岩類とともに存在しており、それぞれの貫入関係を詳細に観察することが出来る。これらの花崗岩類、特に比較的同時期に活動した花崗閃緑岩類について、構成鉱物について化学組成を求め、温度・圧力条件を見積もり、その貫入した状況について検討した。
糸島半島に産する糸島花崗閃緑岩は、角閃石温度計で700℃前後を示し、複数の圧力見積で1.6~2.7kbarを示した。一方、北崎花崗閃緑岩は730℃前後を示し、2.5~3.6kbarの圧力が見積られた。その北崎花崗閃緑岩に貫入する志賀島花崗閃緑岩は、主要な産地で、650~690℃・1.3~2.7kbarの温度・圧力が見積られた。志賀島花崗閃緑岩が北崎花崗閃緑岩に貫入する産状を考慮すると、北崎花崗閃緑岩が生成して浅所に浮上した後に、志賀島花崗閃緑岩に貫入され現在に至ることが考えられる。また、糸島花崗閃緑岩と北崎花崗閃緑岩とではほぼ同時代の活動を示すことを考えると、同時代の深所に北崎花崗閃緑岩が、浅所に糸島花崗閃緑岩が貫入していたことが想像される。

著者関連情報
© 2016 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top