最近,複数の炭素質コンドライト中に,コンドリュール/リム単位のクラストが一般的に存在することが報告されている(e.g. Tomeoka & Ohnishi, 2010)。クラストは母岩と異なる変成履歴を持ち,母天体の形成履歴に関する新たな情報を我々に与えてくれる。Tagish Lake隕石は主に二種類の岩相からなると考えられている(Zolensky et al., 2002)が,炭酸塩に乏しい岩相では角礫岩化の痕跡が一切みられないという報告(Greshake et al., 2005)がある一方で,炭酸塩に富む岩相ではコンドリュール/リム単位のクラストが一般的に存在する(Nakamura et al., 2003)という報告がある。我々は,炭酸塩に乏しい岩相の組織、鉱物・化学組成について詳細に調べた結果,この岩相で活発な角礫岩化作用が起こっていたことを示す証拠を見出した。