日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
セッションID: R1-13
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R1:鉱物記載・分析評価
EPMAによる黒雲母の化学組成式:結晶化学と成因的意義
*花田 遥平木股 三善清水 雅浩星野 美保子越後 拓也西田 憲正中野 聰志
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抄録

黒雲母の化学組成式は、Foster(1960)などの方法を用いて構築するのが一般的であるが、EPMAの測定値のみから、H2O量及び鉄の価数を考慮した化学組成式の作成法の正当性は十分に検討されていない。本研究では、滋賀県の田上花崗岩体、筑波山の加波山花崗岩体、福島県の竹貫変成岩体で採取した、母岩とペグマタイト(加波山花崗岩体のペグマタイトの場合は山ノ尾ペグマタイト)から産した黒雲母を使用し、EPMAの測定値のみから、H2O量及び鉄の価数を考慮した化学組成式の作成方法を構築した。今回の組成式の計算方法を用いると、M席とI席の空孔は増加したが、結果を結晶化学的に考察すると、空孔を含む複合イオン置換が成り立つことが証明された。また、田上産よりも山ノ尾産黒雲母の方がFe3+が多く含有されていることが判明した。黒雲母のFe3+/Fe2+は、磁鉄鉱系列の花崗岩で高くなることから、山ノ尾の花崗岩質岩体は局所的に磁鉄鉱系列の花崗岩に属する可能性が示唆された。

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© 2011 日本鉱物科学会
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