日本航空宇宙学会誌
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特集 設計最適化・設計探査 第5回
複合領域設計最適化とその宇宙往還機概念設計への適用事例
藤川 貴弘
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2018 年 66 巻 12 号 p. 361-368

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抄録

複合領域設計最適化(Multidisciplinary Design Optimization : MDO)とは,複数の領域(サブシステムや設計分野)から構成されるシステムの設計を数値解析により最適化する工学技術である.MDOでは,各領域の設計や応答が相互に影響しつつシステム全体の性能が決まることを最適化問題において定式化し,すべての領域の設計を統合的に最適化する.設計開発の初期段階においてシステム全体のMDOを実施することで,優れた設計解が得られるとともに,領域間の相互依存関係を無視した場合に発生しうる設計の手戻りを回避できることが期待される.本稿では,宇宙往還機の概念設計を具体例に用いつつ,MDOに関する汎用的な考え方や手順,最適化問題の定式化手法を解説する.機体設計と飛行軌道設計の間に複雑な相互依存関係がある空気吸い込み式エンジン搭載型宇宙往還機においても,MDOにより効果的な概念設計が可能であることを示す.

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© 2018 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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