舌癌の原発巣における病理組織学的悪性度の評価およびこれらと頸部リンパ節転移との関係について検討をおこなった.深部へ浸潤する癌では組織分化度がより低いものへと変化するものが存在することが確認された.頸部リンパ節転移と有意な関係が確認されたものは, 神経周囲浸潤, 筋層深達度, 最浸潤部での組織分化度であった.神経周囲浸潤と筋層深達度との間には有意な関係が確認され, 神経周囲浸潤が深達度を増加させる因子であることが示唆された.治療方針であるが, 頸部リンパ節転移陰性かつ原発巣の筋層内深達度が7mm未満の例では, まず原発巣切除のみを施行し, 術後の病理組織学的検索で予後を推察したいと考えた.