2021 年 34 巻 1 号 p. 123-129
外科的介入により良好な経過が得られた非結核性抗酸菌による頸部リンパ節炎2症例を報告する.2例とも免疫不全を合併しない成人で,一側性の頸部リンパ節の腫脹を認め,抗菌薬治療に抵抗性を示した.穿刺液の抗酸菌培養で,1例目はMycobacterium abscessusが,2例目はMycobacterium avium complexが検出された.1例目は化学療法および切開・排膿ドレナージが奏功した.2例目は化学療法開始4ヵ月でもリンパ節が残存し,摘出術により根治した.非結核性抗酸菌による頸部リンパ節炎は,化学療法のみでは治療が長期にわたることも多く,頸部に限局したリンパ節病変であれば,外科的アプローチも容易で早期治癒も望めるため,積極的な外科的介入が勧められる.