2010 年 23 巻 2 号 p. 243-247
舌扁平上皮癌28症例に対してドセタキセル (DOC), シスプラチン (CDDP), 5-FUによる超選択的動注化学療法を施行した. 27例に組織学的CRを得て, 奏功率100%, CR率は96.4%であった. CRを得られなかった1例は放射線治療と手術療法を既に受けていた症例である. 追跡期間中央値1,815 (382~3,383) 日で生存率85.8%, 臓器温存率82.5%を得た. T2ならびにT2に近いT3症例は超選択的動注化学療法のみで, T3ならびにT4a症例の多くは超選択的動注化学療法と放射線同時併用で原発巣は制御可能と考える. 頸部リンパ節転移に関しては頸部郭清術に依存することがある. 本療法は「臓器温存・非切除治癒」を目的とした治療法として有用であると考える.