1932年に竣工した建物の外壁はテラコッタで覆われている。しかし、この外壁は劣化が目立ち始めた。本研究では表層強度試験器を用いてテラコッタの劣化評価と補修材料の効果の確認を行った。その結果、以下が判明した。開発中の試験器を使用することによって、テラコッタの物理面での劣化原因を解明した。さらに、この試験器によって浸透性補強剤の補強効果の確認も行った。この試験器によって判明したテラコッタの劣化と物性の関係を以下に述べる。1)釉薬が薄く、生地強度が弱いと釉薬剥離が起きやすい。2)釉薬の貫入は釉薬が厚い方が入りやすい。しかし、貫入は生地の劣化を招かない。3)釉薬が剥離した部分は生地の表層部分の強度が低下している。また、今回使用した含浸補強剤はテラコッタ生地に約9mm浸透した。