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近年、水性塗料の需要が急激に高まってきている。しかしながら、耐久性、耐水性、塗膜物性、施工性といった性能面から水性塗料への完全な移行ができない側面もあり、このような問題を解決するための技術の一つとしてエマルション粒子間の架橋反応により水性エマルション塗料の性能を向上させる方法が考えられる。本研究ではケトン・ヒドラジド架橋システムを対象として、架橋剤の性能評価を行った。ケトン基含有エマルション樹脂に架橋剤を導入すると塗膜物性の向上が確認された。ただし、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)とAPA(アミノポリアクリルアミド)を比較した場合、耐水・温水白化性は、APAの方が優れているが、架橋性はADHの方が優れる結果であった。また、APAはケトン基以外のカルボニル基とも反応する可能性があり、ケトン基を含有しないエマルション樹脂の耐水性改善にも有効であると考えられるが、さらなる確認が必要であろう。