順天堂医学
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原著
SLEに合併する血小板減少症の機序の解析
斎川 雄弘藤森 正登河野 浩章佐野川 玲子広瀬 幸子
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1993 年 39 巻 2 号 p. 225-234

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抄録

全身性エリテマトーデス (SLE) に合併する血小板減少症の機序については, 抗血小板自己抗体によるという考えと, SLEに好発する血栓症によるという考えがある. また最近, SLEの血栓症の原因として抗カルジオリピン (CL) 抗体を含む抗リン脂質自己抗体が注目されるようになっている. われわれは, 抗血小板自己抗体と抗CL抗体が検出され, しかも血小板減少症を自然発症するSLEモデルマウス (NZW×BXSB) F1と (NZB×BXSB) F1マウスを用いて, これらの自己抗体産生の有無と血小板減少との相関を遺伝的に解析した. その結果, IgG血小板結合自己抗体の出現が血小板減少ときわめてよく相関を示したのに対し, IgG抗CL抗体の出現との間には明らかな相関は認められなかった. また血小板減少を示すマウスからモノクローナル抗血小板抗体および抗CL抗体を作製し, これらの抗体を正常マウスに投与して血小板減少能を検索したところ, 抗血小板抗体投与群および抗血小板抗体と抗CL抗体を混合して投与した群で血小板減少が認められたが, 抗CL抗体投与群では認められなかった. 以上よりこのマウスにみられる血小板減少は, 主に抗血小板抗体の出現によると考えられた.

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© 1993 順天堂医学会
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