われわれは脳髄膜腫術後患者32例を対象とし, てんかん発作発症の危険因子を, 術前・術後の経時的脳波変化を中心に画像診断・臨床経過により評価し, 抗てんかん薬中止時期の指標について検討した. 観察期間は術後6ヵ月から7年である. 9例 (28.1%) では術後2ヵ月の時点で脳波が正常もしくは軽度異常であり, 基礎律動周波数分析ではα帯域におけるパワーのピーク値が上昇した. その時点より抗てんかん薬を漸減・中止したが, その後の脳波は定常状態であり, 臨床発作はみられなかった. 臨床発作は3例 (9.4%) にみられた. 臨床発作の危険因子は, 脳波経過不良, 術後の脳浮腫, 抗てんかん薬の予防的投与を行わないこと, 怠薬または不適切な中止であると考えた.