順天堂医学
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原著
慢性圧負荷肥大心の収縮性に関する研究
-圧・容積関係および圧・容積速度関係について-
佐藤 裕之
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1983 年 29 巻 2 号 p. 191-203

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抄録

家兎の下行大動脈を狭窄することにより慢性圧負荷肥大心を作製し, 約4週間後の時点でその収縮性につき検討した. 左心室内容積制御システムを用い, 不全のない圧負荷肥大心で等容性圧・容積関係および心筋試料における力・速度関係に対応すると思われる圧・容積速度関係を求め, 正常対照群と比較した. その結果, 等容性圧・容積関係では肥大心群で正常対照群に比し同一容積での内圧増加傾向を示したが, 壁応力・比容積関係に換算して検討すると同一比容積での壁応力は逆に肥大心群で減少していた. 本法による圧・容積速度関係は心筋試料における力・速度関係と同様に直角双曲線で近似可能であった. この圧・容積速度関係では肥大心群において正常対照群に比して最大容積速度が減少していた. 以上の結果から, 不全のない慢性圧負荷肥大心では単位断面積あたりの壁応力および最大容積速度が減少しており, 収縮性が低下していることが示唆された.

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© 1983 順天堂医学会
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