2011 年 65 巻 1 号 p. 40-45
フライアッシュはポゾラン活性を有する良質な混和材料であり、近年ではフライアッシュを大量に混和したプレキャストコンクリート製品への応用も進んでいる。しかしながらポゾラン反応と一般的なセメントの水和反応の差異に関して、生成する水和物の観点から研究している例は少ない。本研究ではポゾラン反応により生成するケイ酸カルシウム水和物、特にシリケート相におけるシロキサン鎖の鎖長分布に着目して検討を行った。フライアッシュと水酸化カルシウムを混合したペーストにおいてシロキサン鎖の分布を分析したところ、反応初期に一旦長鎖化したシロキサン鎖はポゾラン反応の進行と共に短鎖長化に転じる傾向にあり、一般的なセメントの水和反応のケースとは全く異なる挙動を示すことが分かった。また、加温によるポゾラン反応への影響を検討したところ、反応温度が高いほどシロキサン鎖が短鎖長化に転じるのが速くなる一方で、C-S-Hゲルの生成量は増加する傾向にあることが確認された。