日本応用動物昆虫学会誌
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サツマイモ畑におけるイモゾウムシ個体数の変化と被害
安田 慶次
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1997 年 41 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

無防除と薬剤防除を行ったサツマイモ畑でイモゾウムシによる被害および個体数の推移を苗植付から,収穫までの150日間,15日ごとに調べた。
サツマイモ畑へ侵入した雌成虫は地際の茎に産卵し,そこで個体数を増加させ,無防除の場合,ピーク時の茎中の株当たり個体数は幼虫,蛹,成虫の合計で1.22∼3.90頭であった。塊根での発生は茎より遅れ,収穫時に幼虫,蛹,成虫の合計で株当たり5.08∼7.97頭となった。幼虫による茎の被害は塊根の被害より30∼60日早く起こり,かつその割合は高かった。茎の地際に薬剤を散布した場合,無防除に比較して茎内での個体数はあまり増加せず,塊根部分でも個体数は少なく,1株当たりの個体数は無防除区と比較して4分の1であった。
イモゾウムシによる茎の被害は塊根収量に影響をあたえず許容できるので,茎の被害程度からその後の塊根の被害を予測し,防除要否の判断ができる可能性を示した。

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