日本応用動物昆虫学会誌
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ワタアブラムシの越冬卵の孵化と幹母1齢幼虫の移動
稲泉 三丸高橋 滋
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1988 年 32 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

1) 1986年および1987年の3∼4月にかけて,ムクゲの小枝に産付されたワタアブラムシの卵について,産卵部位,孵化時期,孵化率,および幼虫期間,1齢幼虫の枝上における移動などを調べた。
2) 野外の4本のムくゲより任意に長さ40cmに切り取った321本の小枝中,ワタアブラムシの卵の見つかった枝は46本(14.3%),また,枝1本当りの卵数は3.2個であった。卵は頂芽にもっとも多く見られ,全体の30%近くを占めた。
3) 卵の孵化期は冬季の気温が平年並みの1986年では4月上旬に,暖冬の1987年では3月下旬にピークを示した。また,2シーズンの卵の孵化率はそれぞれ72, 83%であった。
4) 幹母の幼虫期間は,各齢期間を合計すると19.2日かかり,したがって,宇都宮では例年4月20日前後に幹母は成虫に達すると推定された。
5) 孵化した幹母の1齢幼虫の約60%は,すぐに孵化した芽に定着しないで,1∼3日枝上を行きまわり,半数以上は1∼3芽離れた芽に定着する。

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