日本応用動物昆虫学会誌
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リンゴモンハマキ性フェロモントラップの発生予察への利用に関する研究
I. トラップの高さと誘殺数ならびにほ場密度と誘殺数の関係
佐藤 力郎柳沼 薫杉江 元
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1987 年 31 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

1) リンゴモンハマキのフェロモントラップの高さと誘殺数の関係を検討したところ,裸地では1.0mの高さで,ナシ園では高さ2.4mで(棚上の新梢先端の高さ),そして標準的なリンゴ園でも高さ2.4m(樹冠分布量が多い高さ)での誘殺数が多かった。
2) 水田に囲まれたナシ園および周辺からマーク虫を放飼し,園内および水田に配置されたトラップでの再捕率と再捕までの飛翔距離を調べた。再捕率は園内から放飼した場合30%程度であった。この場合,放飼当夜に,放飼地点に近いトラップで捕獲される場合が多かった。再捕までの一晩の飛翔距離は,園内および園外200m地点から放飼した場合,それぞれ41mおよび110mであり,本種の雄蛾がかなりの飛翔力をもつことが明らかとなった。
3) ほ場での蛹殻密度とトラップでの誘殺数の関係を検討したところ,第1および第2世代では誘殺数は蛹殻密度の0.6∼1.8倍であったが,越冬世代では45倍以上と著しく多かった。この原因の一つとして,越冬世代の成虫の生存日数が他の世代よりも長いことが影響していると考えられる。

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