日本応用動物昆虫学会誌
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枠あたりの個体数にポアソンか負の二項分布が仮定できる場合の個体数推定の一方法
塩見 正衛
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1974 年 18 巻 3 号 p. 106-114

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抄録

1. 昆虫個体数の推定は,一般に大変な時間と労力を要する。しかしながら,その個体数の枠あたり(株あたり,葉あたり)頻度分布が,ポアソンか負の二項分布にしたがっているか,それらで近似できるときには,枠あたりの平均個体数(密度)を比較的容易に推定することができる。
2. 枠ごとにデータをとりながら,個体数が0の枠数x0, 1個体いる枠数x1,…,n個体いる枠数xn, n+1個体以上いる枠の数xn+の頻度分布を作り,これより所定の統計的方法で枠あたりの平均個体数を推定する。最も簡単な例では,ポアソン分布の場合は,0個体の枠数x0と1個体以上の枠数x0+から,枠あたり平均個体数が推定できる。また,負の二項分布の場合には,x0, x1と,2個体以上いる枠数x1+から,平均個体数を知ることができる。このように,昆虫個体数の少ない枠内の個体数はかぞえ,ある程度個体数の多い枠内の個体数はかぞえなくてすむから,個体数の調査に要する時間と労力はかなり節約できる。
3. この報告では,また,一定の個体数推定精度をうるために,nをいくらにすればよいか(すなわち,頻度分布の級をいくらにすればよいか),および,総枠数Nをいくらにすればよいかを示す数値を表に示した。

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