機械学會論文集
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X 線による残畄應力の測定
西原 利夫小島 公平
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1937 年 3 巻 12 号 p. 203-207

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抄録

鋳造、熔接、燒入れ、その他種々の加工に依て機械部分を製作するに際し、これ等の材料が外力の作用しない状態にあるにも拘らず相當大きな残畄應力を持つてゐることがある。かゝる材料を用ひた機械部分は極く僅かの荷重を掛けることに依て忽ち局所的に大きな應力を呈し遂に破壊する様なことが起る。従て材料或は機械部分の内部應力の分布状態を知ることは非常に大切なことである。従耒の應力測定のやり方を考へてみるに、試驗片に穴をあけるとかその他何等かの加工を施して應力分布の状態に変化を與へ、その変化に依て元々あつた残畄應力を求めるか、又は試驗片に標点を附して應力の掛る前後の標点間の距離を正確に測定するかである。前者の場合に於ては測定に表れるものは彈性的な歪に限られ、後者の方法に於ては求め得られるものは要するに2点間の平均値であつて標点間の距離を狹くするにも限度があるから極く局所的な應力の値は出て耒ない。その他光彈性に依る方法もあるがこれも亦試驗片に依る実驗である。最近X線を用ひて應力を求めることが行はれ始めたので、この方法の長所短所を明かにする目的を以て、筆者等は先づこの方法に依て求めた應力値と理論的に計算した値との間に如何なる関係があるかを求めX線的方法を吟味せんとしたのである。

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