機械學會誌
Online ISSN : 2433-1546
粗面の傳熱効果に關する研究
宇平 光太郎
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1934 年 37 巻 202 号 p. 77-87

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抄録

著者は曩に流動する空気中に存在する傳熱面に、針状の突起を接着すると傳熱効果を著しく増加することを發表した。但し前記論文に於ては着想の經過竝に傳熱作用に就て、比較的簡單な説述を試みたに過ぎぬが、本論文に於ては更に細部に亘る攻究を行ひ、傳熱効果が如何なる原因により増進するかを實驗的に究めんとした、研究の進行を二段に分ち、第一段としては円筒管に就て、空気が管を横切つて流れる場合に、傳熱管の表面に砂の細粒或は針葉の断片等を接着したものゝ傳熱測定を行ふた。その結果は滑面の場合より傳熱量を著しく増加した。或る場合は傳熱量を60%も増加するに至つた。しかし嚴密に云へば以上の傳熱効果には突起體の熱傳導の影響が皆無であると云ふことが出來ないから、第二段としては突起體の後流のみによつて如何なる傳熱効果を發生するかに就て傳熱測定を行ふた。即ち平面板に沿ふて空気が流れる場合に、板面の一部に形成した突起體の後流が、その後流の通過すべき隣接阪面の傳熱作用を如何に促進するかと云ふことを測定した。之等の測定結果より傳熱面に針伏の突起を接着する時は、該突起のため傳熱面の空気境界層が攪亂さわ、その影響が傳熱作用の上に著しく現はれることを明瞭に知ることが出來た。著者は猶以上の傳熱効果を航空機用放熱器に應用すべきことを指摘して、二三の實驗結果を記述した。

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© 1934 一般社団法人日本機械学会
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