関西支部講演会講演論文集
Online ISSN : 2424-2756
セッションID: 3401
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単結合機械システムの波動解析・波動制御
(一般繰り返し構造系への展開を目指して)
*長瀬 賢二
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会議録・要旨集 認証あり

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抄録

本講演では,繰り返し構造を有する機械システムの振動制御法として期待されている波動制御法1)について,特に,図1に示すような,システム(A)が隣り合う層と一組の力と速度を交換して結合している,単結合系(mono-coupled system)に対する著者らの最近の研究結果2)の概要を紹介する.システムの構成要素は,線形,時不変,集中,受動,相反な素子であるとし,その内部構造は規定しない.各サブシステムは,単純な等しい質量とばね・ダンパの繰り返しに限らず,図2(a)~(c)のような内部構造も考えることが出来る.

波動解析においては,システムの動特性をラプラス変換上での漸化式で表し,変数変換による対角化を行うことで,進行波の議論を行うことが多い.二次定数は,漸化式の係数行列の固有値と固有ベクトルから定まり,一般にsの無理関数となる.進行波による解析では,調和解析が用いられるが,その際,単にs=jωでの二次定数の値や無限延長時の系の性質の類推から,進行波の性質や制御系の安定性の議論がなされることが多い.しかしながら,調和解析が有効であるためには,システムの安定性に加え,二次定数や変数変換行列が複素右開半平面内で解析的な関数として定義されている必要があり,かつ,それらがその領域で進行波としての解析に必要な性質を満たし続けている必要がある.また,波動制御においては,特性インピーダンスの正実性が,閉ループ系の安定性の議論に必要となる.

本研究では,図1の単結合系に対し,波動解析・制御の議論に必要となる上記の点について議論を行う.はじめに,システムが一様(Aがすべて同じ)な場合において,波動解析・制御の議論に必要となる性質について述べるとともに,単結合系の二次定数がその性質を満たすことを示す.つぎに,その議論をAが層ごとに変化する,非一様系へ展開する.まず,波動解析の基礎となる,伝搬定数が層ごとに変化しないという条件を考え,その条件を満足するシステムの条件を導く.条件を満たすシステムとしては,システム内の各パラメータが層ごとに一定比で変化する,梯子型結合系や並列型結合系,および,それらの直列結合がある.図2(a)~(c)で与えられるシステムは,いずれも,条件を満たす系の直列結合で構成されており,一様な場合のみならず,一定比で変化する場合においても,波動解析・制御の議論が適用可能である.

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© 2021 一般社団法人 日本機械学会
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